私は大学4年生のとき、なかなか就職先が見つからず苦労しました。精神的に追い詰められて家族にあたってしまうこともありましたが、母は「あなたには良いところがたくさんある。自信を持って」と私を励ましてくれました。その支えもあって、無事に就職先が決まりました。初めてお給料をもらったとき、母に感謝の気持ちをこめて何か贈りたいと思いました。母はいつもリビングに花を飾るくらい花が好きです。そこで花をプレゼントすることにしました。特別な思いを伝えるためのものなので、奮発して胡蝶蘭の青いものを贈ることに。感謝の言葉と一緒に胡蝶蘭の鉢を母に手渡すと、母は驚いた顔をしたあと、涙ぐみながらとてもうれしそうに微笑んでくれました。それから、鉢を置いて、私を抱きしめてくれたのです。感謝の気持ちがちゃんと伝わったことが嬉しくて、私も涙ぐんでしまいました。
子供のころ、両親が結婚する前に父が母に贈った印象的なプレゼントの話を聞いたことがありました。それは高級な花の贈り物だったそうです。父が、自分の姉のことで母に助けてもらったお礼に贈ったと聞きました。当時の私はまだ幼くて、一万円以上する花があるということも、それを父が買って母に贈ったということも信じられませんでした。ただ、その話をする母はとても幸せそうで、とても良い思い出であることがうかがえました。その高級な花のプレゼントをもらってから、母は人並み以上に花が好きになったそうです。それまでは、道に咲いているのや花屋さんの店頭でたまに見て「きれいだな」と思う程度だったらしいのですが、現在では、母はリビングにいつも花を飾っています。その花の贈り物は、母の「好きなもの」を増やして生活の一部にしてしまうくらい、素晴らしいプレゼントだったのだろうと思います。